やり方を自分で工夫して、仕事に取り組んでくれました
鹿児島に本社を構える株式会社シュウエイは、昭和30年の創業以来、伝統を守りながらも独自の製法で薩摩揚げをつくり続けている食品メーカーです。
ドアを開けると「いらっしゃいませ!」と、社員全員が立ち上がって迎えてくださる温かい会社。
今回は、どのような実習だったのでしょうか。代表取締役社長小林稔夫さんと筋間美代子さんのお話をうかがいに、東京都大田区にある東京支社を訪問しました。
職場実習レポート 6 - 株式会社シュウエイ-
実習を受け入れようと思ったきっかけは?
小林さん 以前、4年ほど工場長として千葉工場にいました。
そこで、「自慢を増やそう」プロジェクトというのを始めました。
会社の外に出たとき「私の会社って、こんな会社です」と自慢できることを増やすのです。
そのひとつが、障害者雇用でした。
地域の複数の特別支援学校から実習生を受け入れ、そのまま雇用につないでいます。
また、その学校で子どもたちが育てた農産物をさつまあげの原料として購入し、つくったものをイベントなどで販売しました。
これ、絶対に「自慢」になるでしょう? 当初、「あの子たちが来ることによって職場の雰囲気が変わるのでは」と期待していましたが、その通りになりました。
その子のために考えたり工夫したりしていると、社員同士の関係もいつのまにか円滑になる。
そうした経験があったので、ペガサスの木村代表からお話を即、OKしたのです。
津田さんは、実習生にどのように指導されたのですか。
小林さん 現場に任せました。
実習生は、仕事中の会話から先回りしてキャッチし、必要なことを調べて教えてくれるんです。
優秀な方だなあと感心しましたよ。
筋間さん 仕事は主に、顧客データの入力を中心にお願いしました。
集中力がいる作業ですが、実習前にご本人から配慮事項として「長時間続けると集中力が続かない」と聞いていましたから、合間にカタログを整理したり私が持っている仕事のお手伝いをしていただいたりしました。
弊社では「販売管理」というソフトを使用しています。
それを初めて使ったそうですが、ご自分でそのソフトのショートカット機能を調べ、作業時間を短縮できるようにしていました。
私の知らないショートカット機能も教えてもらいましたよ。
お願いしたことを正確に理解してやっていただけたし、お願いした以上のことに気づいてやり方を工夫してくれ、とても助かりました。
作業スピードがとても速かったし、何より正確でしたね。
私たちスタッフ皆、発達障害の方と接するのが初めてでしたから、こちらからどうアプローチしていいか、ちょっと心配していました。
でも、実際にお話ししてみたら、私たちと変わらないし、話し好きで好奇心が旺盛。
得た知識を人に教えてあげたいという気持ちが伝わってきました。
ですからコミュニケーションを取りやすかったです。私も楽しくお話しできました。
実習を受け入れてみて、どのように感じられましたか。
筋間さん 私は今回の経験を通して、構えてはいけないなと思いました。「距離ゼロ」で話していくことが大切ですよね。
出会ったばかりのときは、誰でもちょっと緊張します。
お互いに構えてしまうし、親しくなるのに時間がかかります。
実習先では、最初はよそよそしい印象を持つかもしれません。
でも決して冷たくしているのではなく、それは、その人と深く関わりたいと思うからです。
そうしたことも実習生に伝えることができたら。
そう思います。
今回、実習生には業務部の仕事をお願いしたのですが、最終日に、営業部の人から「営業部にはあまり接していない人もいるので、最後にみんなのメッセージを入れた色紙をあげたらどうか」と提案がありました。
そこで、全員がひと言書いて、色紙をお渡ししました。
喜んでもらえていたら、とても嬉しいです。
小林さん 今回の実習生の仕事ぶりを見て、今後も実習受け入れを継続していきたいと思いました。
障害者雇用をためらったり、雇用義務で受け入れている会社もありますが、そうした会社の経営者には「障害者に働いてもらうことによって会社がよくなるよ」とお話ししています。
彼らがきちっと成長することが会社の成長です。辞めていくようでは、会社は成長していないということですよ。
会社名
株式会社シュウエイ
主な事業
さつま揚げ製造および販売
従業員数
56名