気持ちよいあいさつで、いつもオフィスを明るくしてくれました
Web・アプリケーション開発企業である株式会社ビットウィンの代表取締役佐藤秀明さんは、公私にわたって社会貢献事業に積極的に関わっている。
「全てたまたま縁があってのことです」と話す佐藤さん。実習生をどう受けとめられたのでしょう。東京都中央区のオフィスを訪ね、お話を伺いました。
職場実習レポート 1 - 株式会社ビットウィン -
実習生受け入れのきっかけは何だったのですか?
7〜8年前、偶然見た電車の広告で里親制度を知り、里親登録をしました。
短期間、子どもを預かるのです。
3人の子どもを預かりましたが、そのうちひとりが障害児でした。初めて障害者に関わることになりましたが、これ以降、何かと縁が続いています。
ビットウィンにはアプリケーション開発やWeb開発以外に、「ヴィーナス・トウキョウ事業部」があります。
「ランドリーナッツ」(環境負荷の少ない木の実のエコ洗剤)の輸入・販売を行なっています。
あるイベントでこの製品の販売をしていたとき「この袋を福祉作業所でつくってみませんか」と声をかけてきた人がありました。
その方は、ボランティアで東北にある福祉作業所でつくっている製品を販売していました。
このお話を聞いたとき、里親として預かった障害児の顔が思い浮かびました。
「もしかしたら、あの子たちのお手伝いがまだできるのかな」。
これがきっかけとなって今、東京と埼玉、2軒の福祉作業所さんで「ランドリーナッツ」の袋詰めをしていただいています。
今回の実習生の受け入れも、こんなふうにつながった縁の延長にあるような気がしています。
ある日、私が所属している東京中小企業家同友会のペガサスの木村代表に声をかけていただきました。
「障害者の職場実習に協力してくれませんか」。
ビットウィンはWeb・アプリケーション開発が主業務になりますが、「ランドリーナッツ」の受発注業務なら関わっていただけそうでした。
ヴィーナス・トウキョウ事業部は経営的には人材を雇用できる状況ではありませんでしたが、「実習なら何とかなる」。受け入れを決意しました。
5月と7月にそれぞれ4週間、二人の実習生に来ていただきました。
一緒に仕事をして、どう感じられましたか。
実習生には、注文を受けたら受注確認し、商品を梱包して発送する受発注業務の他に、ホームページの管理・更新や事務アシスタントもやっていただきました。
ペガサスから受け入れるのですから発達障害があることは事前に知っていましたが、言われていなかったらわからなかったかもしれません。
仕事も問題ないし、ごく「普通」の青年たちでしたから。 二人の対応と仕事の指示を担当したスタッフ(細谷和美さん)も、仕事に関する質問を受けても会話が自然に生まれて、とても楽に接することができたと言っていました。
実は細谷は、人見知りなのです(笑)。
それだけに、接するときには気をつけようと思っていたそうですが、終わってみると、「一緒に仕事をしていると楽しかったし、教えられたり助けられたりすることも多かった。
また実習生、受け入れましょう」と。
これから実習をする人たちへ、メッセージをお願いします。
彼らからは、いい刺激をもらいました。
言葉遣いや声のかけ方など、とてもきちんとしているんですね。
私を含め、他のスタッフも見習ってもらいたいほど(笑)。
彼らのあいさつに、いつもさわやかな気分になりました。
実習の前に「電話応対は業務からはずしてください」と要望がありました。
人との関わりで、過去に何か自信を失ってしまうことがあったからなのかもしれません。
でも、どうでしょう。あれほどきちんとコミュニケーションが取れるのだから、日常の電話対応だってきっと問題ない。
電話応対は誰もが最初は不安です。
慣れることによって、うまくできるようになる。過去は過去のこととして、恐れず、自信を持って取り組んでほしいな。
これから実習を始める人にも、そう伝えたいですね。
障害者雇用についてですか。
募集をしたら「欲しい!」と思う人材に出会い、それがたまたま障害者だった。そのようなイメージでしょうか。
また実習生に来てもらいたいなあ。
そんなふうに思っていたら、ペガサスから電話がありました。
「11月から、またお願いできませんか」。
もちろん、オッケー。今から楽しみです。