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認知の歪みのなおし方

ある日、知人を偶然街なかで見かけたあなたが、「こんにちは」と挨拶をしたのに、相手からなんの反応もなく素通りされたら、あなたはどんなふうに感じるでしょう。

多くの方は「え?なんだろう」ってなるでしょう。良い気分ではないのは確かです。

ただここで、「無視された」「バカにされた」と憤慨したり、「嫌われている」と不安に感じてしまったりしたならば、それは『認知の歪み』があるのかもしれません。

もう少し違ったパターンも考えてみましょう。

あなたが大きな仕事を任されたとします。

「自分の力が認められたんだ」「頼りされてるんだ」と嬉しく思うでしょうか?

それとも、「私には無理なのではないか」と不安に思うでしょうか?

それとも、「私ばかり負担の重い仕事を押し付けられている」と不満に思うでしょうか?

自分の力が認められたと思えば、やる気満々で仕事への意欲も湧くことでしょう。

自分には無理だと思えば、不安を抱えながらの仕事となり、体調にも影響が出そうです。

まして、仕事を押し付けられたと思えば、嫌々ながら仕事に取り組むことになるでしょう。「私ばかり」という思いは、周囲の人間関係にもヒビが入るかもしれません。

同じ出来事でも、受け止め方が違ってくると、その後の精神状態や行動に大きく影響していきます。

認知の違いは価値観によるもの

ブログをご覧のみなさま、こんにちは。私は主に発達障害・精神障害の方へ就労の支援をしております、ペガサス平塚センターの宇佐美です。平塚センターでの自己理解講座では、先月この認知の歪みについて、グループワークを通して、利用者様と一緒に、その修正方法について考えてみました。

さて、私たちには、子どもの頃からの教えや経験に基づく価値観があり、それは歳を重ねるに従って、より強固なものになっていきます。同じ出来事でも、人によって受け止め方(認知)が異なるのは、その価値観が異なるからです。

その価値観は、ものごとを判断する上での指標となり、それを繰り返すうちに『考え方のクセ』が出来ていきます。いちいち価値観と照らし合わせなくとも、瞬時に判断が下るようになると、かなり『考え方のクセ』は強化されていると言えます。

ところが、ときにその『考え方のクセ』が、自身を辛くさせることもあります。そして、興味深いことに、人を苦しませる考え方のクセにはパターンがあり、10パターンがあるとされ、それは『認知の歪み』と呼ばれています。例えば、白か黒かでしかものごとを判断しなかったり、ちょっとしたことをすぐ全てのこととして捉えたり、自分で考えた基準で自分や他人を過度に追い込んだり……などがあります。歪みのパターンについては、すでに多くの方が説明されているので、ここでは解説は省きますので、気になる方はネット検索してみてくださいね。

歪みをなおすのはたくさんの反証

さて、大事なのは、そういうパターンの存在を知っていることです。自分が辛さを感じたときは、今一度、自分に『考え方のくせ』がないかを見つめてみるとよいでしょう。

その方法として効果的なのは、

① まず、自分を辛くさせている思考について、そう考えてしまう根拠を挙げます。「自分がそう思うからだ」という主観的ではなく、客観的根拠を挙げていきます。

② 次に、①に対する反証を出来るだけたくさん挙げてみるのです。反証とは、事実でないことを示す証拠のことです。

③ そして、①と②に挙げたものを見ながら、事実に基づく新たな思考を見つけていきます。

冒頭の例から考えてみましょう。

挨拶をしたのに返事がなく、「無視をされた」と思ったとしましょう。

① 無視をされたと思った根拠を挙げます。「挨拶をしたのに返って来なかったから」「全く私のほうを見ることがなかったから」

確かにこれでは、無視されたと思いたくなるのは最もですね(自分の考え方をまずは受け止めてあげてください)。

② 次に、反証を挙げていきます。ここではなるべくたくさん挙げるようにします。どうしても挙げられない場合は、友人に相談されたとしたらどう答えるかと考えるとよいです。友人にアドバイスをするという設定にすることで、自分の思考を少し離れたところから見ることが出来るのです。

さあ、どんな反証が挙げられるでしょう。「全く私の方を見ていなかったというのは、私に気づいていなかった可能性がある」

「普段会わない街なかだったから、私だと気づきにくかったのかもしれない」

「雑踏で私の声が届いていなかったかもしれない」

「そもそも相手から無視をされるようなトラブルは起きていない」

たくさんの反証が挙げられました。慣れないうちは、すぐにはできないかもしれませんが、このように反証を探す過程が大切です。反証を探すために、さまざまな角度からものごとを見ることで、自身の凝り固まった考えが少しずつほぐれていくのです。

③ そしたら、①と②で挙げたものを見ながら、新しい思考を見つけていきましょう。

「私だと気づかず通り過ぎた可能性が高い」

「今度は会ったときは、相手に気づいてもらえるように、大きな声で挨拶してみよう」

「相手が挨拶を返さずに通り過ぎた」という事実そのものだけ、そのまま受け止め、考えることができました。ここに認知の歪みはありません。

そして、大切なことはもう一つ。

「それでも無視されたら、相手に『どうかした?』と聞いてみよう(もしくは、共通の知人に相談してみよう)」

このように、もし考えていたことが本当だったときの対応も冷静に考えておくのです。

きっかけは自身への問いかけ

認知の歪みは、先にも説明しましたが、その人が幼い頃から触れてきた教育やしつけ、積み重ねてきた経験から築きあげられた価値観に原因があります。価値観が人それぞれ異なることは当然で、そのひとつひとつは尊重されるものです。

また、どんなにあなたを苦しめる価値観であっても、それをすぐに変えることも、なくすこともできません。だって、それはあなたそのもののようなものなのですから。

ですので、その価値観は認めつつ、辛さを感じるときだけ、「その考え方で大丈夫?」と自分に問いかけ、自分で自分にアドバイスをするように、いろいろな角度から辛さを抱える自分に声をかけてみてください。

そんなことしたって、どうせ無理だよ。辛さなんか消えないよ。

そう呟く自分がいたとしたら、そんな自分をそっと抱きしめ、「どうしてそう思うの?」と問いかけてみてください。認知の歪みは誰にでもあります。歪みの修正は、「どうして?」という自身への問いかけからスタートするのではないかと、私は思います。

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