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栄養素と神経伝達物質の関係

平塚センター支援員の秋山です。

今回は、栄養素と神経伝達物質の関係についてお話ししようと思います。

発達障害の方の中には感覚過敏や、馴染みのあるいつもと違うものに抵抗感が大きいなど、様々な理由で偏食の傾向があることがまま見られます。そのため好き嫌いのない人に比べ、栄養が偏ることもあります。そうした方々に、少しでも食生活に興味を持って頂けるように、精神活動に関連の深い栄養素のお話をしようと思います。

精神・発達障害者の方と関係が深い神経伝達物質としてよく取り上げられるのは、①セロトニン、②ノルアドレナリン、③ドパミン(ドーパミンとも)の3種類ではないかと思います。これらは※1モノアミンという種類の神経伝達物質に分類されます。それ以外に食生活と関係が深いのは、④アセチルコリンでしょうか。アセチルコリンはモノアミン類ではありません。

モノアミン類やアセチルコリンのような神経伝達物質、それ自体は神経細胞(ニューロン)と他の細胞の間で信号を伝達するための化学物質です。電気信号を化学物質の信号に変換することで、情報が伝わるべきところへ伝わる訳です。現在、約100種類程度の神経伝達物質が知られており、これらはそれぞれ違った機能を持っています。

①~③のモノアミン類(神経伝達物質)は、睡眠・行動・気分、記憶、エネルギーなどの重要な脳機能で大きな役割を果たします。うつ病の人の脳内では、モノアミン類が健康な人に比べて少なくなっていることが分かっているため、※2モノアミン仮説として知られています。また、④アセチルコリンは副交感神経において神経刺激を伝える神経伝達物質です。具体的な働きとして、アセチルコリンは脳内では記憶や学習、覚醒などに関わり、身体には休息を取らせたり、エネルギーを備蓄したりする働きがあります。ここに挙げた神経伝達物質の原材料は全て、食べ物から摂取することができます。

モノアミン類の中で、①セロトニンの原材料となるのは、トリプトファンという必須アミノ酸です。必須アミノ酸というのは、人間が体内で合成できないアミノ酸なので、食品から摂取する必要があります。トリプトファンが豊富に含まれている食品として、大豆等の豆類、乳製品などがあります。また、トリプトファンからセロトニンを合成する時にはビタミンB6が必要ですので、ビタミンB6を豊富に含む食品を摂取することも大切です。ビタミンB6を多く含む食品として、玄米や小麦胚芽、鶏・豚・牛のレバー、マグロやカツオの赤身肉などがあります。

②ノルアドレナリン・③ドパミンの原材料は共通しており、アミノ酸の一種であるチロシンです。これは必須アミノ酸ではないので人間の体内でも合成できますが、チロシンの素となるフェニルアラニン(必須アミノ酸)を十分に摂取することで、結果的にノルアドレナリン・ドパミンの前駆体が増えることになります。フェニルアラニンが豊富に含まれる食品としては、鶏肉(胸・ささみ等)、豆類(大豆、そら豆、高野豆腐等)、ナッツ類(アーモンド、落花生等)などがあります。また、フェニルアラニンがチロシン、最終的に②ノルアドレナリン・③ドパミンになるのを補助する役目を持つ葉酸・ビタミンB12、マグネシウムといったビタミン・ミネラルも必要になります。葉酸はブロッコリーや芽キャベツ、ビタミンB12は動物性食品などに含まれています。しかしマグネシウムは殆どの食べ物に含まれているため、過不足になることは滅多にありません。

④アセチルコリンの原料は、コリンです。コリンは脳や循環器の機能、細胞膜の構成や修復にかかわりが深い水溶性ビタミン様作用物質で、アメリカでは必須栄養素に指定されていますが、指定されたのは1998年と最近のことです。血管内のコレステロール(油)を乳化し、血液(水)に流して動脈硬化を防いだりもしてくれる成分です。コリンを多く含む食品として、卵黄、肉類、緑黄色野菜、小麦胚芽などがあります。

長々と説明しましたが、できるだけバランス良く様々な食材を摂取することで十分です。意識的に摂った方が良い食材は、たんぱく質とナッツ類(無塩のもの)、野菜類でしょうか。また、できれば毎日三食、同じような時間帯に摂ることが望ましいです。

※1モノアミン…アミノ基を一つだけ含む神経伝達物質などの総称。ノルアドレナリン・アドレナリン・ドーパミンはカテコール基を持つためカテコールアミンと呼ばれる。

※2モノアミン仮説…大うつ病性障害などのうつ状態は、モノアミン類、ノルアドレナリン・セロトニンなどの神経伝達物質の低下によって起こるとした仮説。

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