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脳を休める方法

ブログをご覧いただいているみなさま、こんにちは。精神障害・発達障害の方々の就労を支援しております就労移行支援事業所ペガサス、平塚センターの宇佐美です。

さて、唐突ですが、湯船に浸かっているとき、皆さんは何を考えますか?

あるとき、こんな質問を利用者のみなさんにしましたら、「一日の反省会」という答えが返ってきました。なかなか一生懸命な方のようです。「明日やること」、「これからのこと」…そんな答えも返ってきました。中には好きな歌を歌うという方もいらして、私自身、若い頃は風呂場でプリプリの『ダイアモンド』を大熱唱していたなぁと思い出しました。

湯船に浸かりながら、一日を振り返ったり、明日の予定を確認したりすることは、とても大切な時間です。しかしそんなときの頭は、あれやこれやと考えて、湯船でリラックスしている体とは裏腹にフル回転です。頭がいつも動いていると、脳は疲れてしまいます。

スマホでもいろんなアプリが立ち上がっていると、動きが遅くなったりアプリが落ちてしまったりすることがありますよね。脳も同じです。頭の中で常にいろんなことを考えていると、脳も動きが鈍くなり正しくものごとを捉えにくくなります。ただ脳が疲れるだけでなく、うまく整理して考えられないために、やけに焦りを感じたり、妙に後ろ向きになったりと、精神面にも大きく影響してきます。

では、脳を休めるには、どうしたら良いのでしょうか?

「寝る!」という答えが、真っ先に思いついた方も多いことでしょう。確かに寝ることも脳を休める上で大事ですが、起きている間にいかに脳へこまめに休憩を与えることができるかが大切です。スマホで言うならば、完璧に電源をOFFにするのではなく、使用しながら立ち上がっているアプリを時々消すようなイメージです。

今に集中すること

脳を休める方法のひとつに、“今に集中する”というものがあります。

「なぁ〜んだ、そんなことか」

「え?集中したら、逆に脳が疲れるんじゃないの?」

そんな声が、みなさまの中から聞こえてきそうです。

みなさまは「いまここ」という言葉を聞いたことがありますか?「今、ここにいること」という意味です。特別なことではありませんね。生きとし生けるもの、みんなに共通していることです。

その「いまここ」にだけ意識を集中させると、脳は余計なことを考えなくなり、その結果リラックスができるというのです。

人間は「今」という時を生きながら、50%は過去や未来のことを考えているそうです。それは、知能の発達した人間だからこその成せる技でしょう。時計があるから時を刻めるのであり、カレンダーがあるから日にちの経過を意識できるのです。朝、昼、晩といったように、太陽の動きだけで時間を認識していた太古は、もっと時の流れはゆるやかだったことでしょう。

ところで、「今に集中する」と聞くと、なんだか妙に肩肘を張って前傾姿勢になってしまいそうですが、そういうことではありません。

さて、ここで冒頭の湯船の話に戻りましょう。

温泉に浸かっているときことを思い出してみよう

「湯船に浸かっているとき、何を考えますか」

この質問を、自宅の湯船ではなく、温泉に変えてみたらいかがでしょうか?

「温泉に浸かっているとき、何を考えますか」

立ち上る湯けむりに手を伸ばし、湯をすくいあげては匂いを嗅いだり、湯の色を眺めたり、腕につたう湯を感じ取ろうとしたりはしませんか?

露天風呂ならなおさら、外気を肌で感じ、近くに川が流れていたならそのせせらぎに、近くで鳥が鳴いていたならそのさえずりに、耳を傾けるのではないでしょうか。夜に入れば星空を仰ぎ、朝に入れば柔らかな日差しに目を細め、温泉に浸かっているに今に集中することでしょう。

温泉に浸かりながら、一日の反省会をする人も明日のことを考える人もなかなかいないと思います(これからの旅のスケジュールを考える人はいそうですが)。

自宅のなんの変哲もない湯船で、温泉レベルに今に集中することは難しいとは思いますが、わずか数分でもかまわないので、体に伝わる湯の温かみに集中してみてはいかがでしょうか。脳のほっとする感覚が味わえると思います。

集中できる「今」はたくさんある

ほかにも、コーヒーなどを飲むとき、新聞やテレビ、スマホから目を離し、鼻孔からじっくり香りを取り込み、ゆっくりとほろ苦さを舌で転がすことも、コーヒーを飲むという今に集中していることになります。

歩きスマホが問題視されて久しいですが、まだまだスマホにくぎ付けの歩行者を多く見かけますよね。画面を眺めていなくても、イヤホンをつけている方は多いものです。外出時は、ぜひ外にいることを全身で感じてみてください。ちょうど桜が散りはじめています。桜の花びらが舞うのを眺めるのもよいでしょう。自分の足音を聞きながら、地面に接する足裏の感触に集中するのもよいですね。花の香や陽光のきらめき、頬をなでる風に意識を傾けるのもよいです。雨が降る日は傘を打つ雨音に、耳をそばだててみてください。それだけで脳はリラックスしますよ。

幼いころは私も水たまりに足を踏み入れてその波紋を楽しんだり、雲の流れを目で追ったりしたものでした。お風呂に入れば、洗面器をひっくり返して湯船の底に沈めては、「えい!」と傾けて大きな気泡を作って遊んだものです(みなさんもやりませんでしたか?)。子どもの頃は当たり前のように、目の前の「今」に集中していたように思います。

「今」に集中するということは、そんなに難しいことではないはずです。過去や未来から時々自分を解き放ち、「今」を大切にする時間を毎日ほんの少しだけでも作ってはみませんか?

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