「ノイズキャンセリングヘッドフォン ~ユニバーサルデザイン・レポートNo.00004~」
ユニバーサルデザイン:
年齢、性別、国籍・文化、障害の有無―あらゆる属性のすべての人に使いやすい「普遍的な」デザイン
No.00004:「ノイズキャンセリングヘッドフォン」
特徴:
騒音を低減して静かに音楽を楽しむことのできるヘッドフォン
もともとはジェットエンジンの音からパイロットの耳を守るために開発された
周囲の音と逆位相の音を発生させて騒音を聞こえないようにする技術が利用されている
詳細:
周囲のノイズを抑えることを目的として、音楽は聞かず、ノイズキャンセリング機能のみを使用することもできます。反対に、ノイズキャンセリング機能はオフにして、シンプルに音楽を楽しむこともできます。
電車で移動するときや、街のカフェなど人の集まるところで勉強や仕事をするとき※に役立ちます。また、物理的にも耳全体を覆うデザインのため遮音性が高く、発達障害や精神障害と同時に、聴覚過敏をあわせ持ち、些細な生活音さえ気になってしまう方にも役立ちます。バッテリー駆動である点、通常のヘッドフォンに比べて重量がある点は、使用するときに考慮する必要があります。
※周囲の迷惑にならないよう、お店では滞在時間等のルールを守ってご利用ください。
~「ユニバーサルデザイン・レポート」に寄せて~
この記事を書こうと思ったのは、学生時代、当時は何気なく受けていた講義で聞いた話が、ずっと記憶に残っていたからです。生涯発達に関する講義でのことだったか、講師の先生がある話をされました。
「あるお母さんが、自分の子どものために作った下敷きがあります。マス目の入った下敷きです。学習障害を持つお子さんが、算数のひっ算がしやすくなるように考えられたものです。」
学習障害のあるお子さんにとって、ひっ算は難しいことが多いそうです。
小学校低学年では、マス目の入ったノートを使いますが、学年が上がるにつれ、余計な線の入っていないノートを使うようになります。
―そのお子さんは、学年が上がり、マス目の入っていないノートの上でひっ算を解くのが難しかった。マス目の入ったノートを使うのも良いけれど、できれば友だちと同じノートを使いたい。どんなノートも、書くときにさえマス目があればいいのに!そこで、お母さんがマス目の入った下敷きを作った―ということだったのです。
ひっ算が難しい理由は、ワーキングメモリの弱さ、視空間認知の弱さなど、様々あるようです。例えばかけ算をするときでは、視空間認知に弱さがあると、まず桁を揃えることが難しく、計算を始めて上の数字(一の位)、次は斜め上の数字(十の位)と、目を忙しく動かして掛け合わせることにも難しさがあり、なんとか計算して出た数字を下の段に書くときにも桁がずれないとも限らない―そうしたときに、マス目があると計算しやすくなる、ということなのです。
話は次のように続きました。
「特に学習障害はなくても、大胆に字を書く子、書き方の癖で文章をノートにまっすぐ書けない子にも役に立ちますよね。それに、大人でもマス目の下敷きがあると便利なこともありそうですね。」
支援職に就き、語弊を恐れずに言えば、支える側も支えられる側も、みんなに便利モノやツールがあったらいいなと、思い巡らすのは楽しい時間となりました。
もっとたくさんご紹介したいですが、「ユニバーサルデザイン・レポート」の連載は、3月で一旦終了させて頂きます。続きは、またいずれどこかで―。
お読み頂きありがとうございました。 執筆:平塚センターI
是非、ご覧ください。