企業実習は成長の機会 !
スタッフブログも2周目となりました。平塚スタッフの鈴木です。今回は、企業実習を経験して大きく変わられた利用者さまのお話です。ペガサスの特長の一つは、働く前に、実際には就職活動を始める前に、ほとんどの利用者さまに企業で実習をする機会を提供していることです。企業実習のメリットや効果については、このホームページの「就職前に企業実習」でも触れていますので、是非ご覧になってください。
夢か? 現実か?
Aさんは、ペガサスに入所されて約1年、当初は休みがちで通所が安定しない方でした。プライベートでの悩みもあり、涙ながらにスタッフに相談することがしばしばありました。徐々に訓練にも慣れて、就職活動の準備をする時期となりました。Aさんにはデザインの仕事をしたいという夢があります。また、何れは一人暮らしをしたいという希望もあります。しかし、就労経験が少ない上に、専門性が求められるデザインの仕事に障害を持つ自分が本当に就けるのだろうかという不安もありました。
スタッフの中には、まず一般事務や軽作業などで社会人としての経験を積み、自立できるようになってからデザインの仕事を目指すほうが良いのではないかという意見もありました。Aさん自身も一時期この考え方に傾いたこともありましたが、やはり自分の夢を叶えたいという思いも強く、進路のみならず訓練への取り組み方も揺れ動きがちでした。悩ましい選択とは言え、適切な助言をすべきところを逆にAさんを迷わせる結果になってしまったことは、私たちスタッフも反省しなければなりません。
企業実習に挑戦 !
このような状況を打開するためには、デザイン関係の企業で実習をしてもらうことがAさんにとって一番良いだろうという結論に至りました。必ずしも好結果を得られず、Aさんの自信を失わせることになる可能性もありましたが、将来につながる気づきや今後取り組むべき課題が見つかることを期待しました。
ところが、平塚市を含む西湘地区では実習に協力してくださるデザイン関係の企業がなかなか見つかりませんでした。最終的に、ペガサスが所属する神奈川県の中小企業家同友会の会員で、横浜市内の某企業様が協力してくださることになったのですが、Aさんの自宅からは約1時間半の通勤時間を要します。もともと人混みが苦手な方でしたので、長時間の通勤電車は難しいと思いましたが、Aさんは意欲的でした。就職先が遠方になることも考えられるし、通勤訓練も兼ねて、是非とも取り組みたいと話されたのです。
実習が始まると、慣れない筈のMacのパソコンを使いこなし、与えられた指示や課題を着実にこなしている様子が毎日の電話報告からうかがい知ることができました。また、デザイン業界の情報やそこで必要とされる実務的なスキルを教えてもらえると嬉しそうでした。そして、通勤は少し疲れるとのことでしたが、休まずに2週間の実習をやり遂げました。
実習の最終日、私は振返りの面談のために実習先を訪問しました。驚いたことに、そこにあったのはAさんがデザインしたいくつかの作品でした。デザイン関係の仕事とは言え、てっきり雑用が主で、せいぜい手伝い程度にデザインの作業をしたのかと思っていました。Aさんがデザインした来年のカレンダーの一つをこのページにも掲載しますが、色合いが素敵なとても可愛らしいデザインで、これを採用するクライアントも既に決まっているとのことです。ペガサスは、実習先に30数項目にわたる評価をお願いするのですが、Aさんの評価はほぼ満点で、採用に値する人物であるとのコメントまでいただきました。Aさんはもはや実習生ではなく、デザイナーでした。
次のステップへ !
後日、私はAさんに実習の感想を聞きました。「有意義でした。」「自信がつきました。」「勉強になりました。」といった言葉を予想していましたが、Aさんの返事は違いました。「一番良かったことは、今後の方向性が決まったことです。」とキッパリ言い切ったのです。もうそこには、迷うAさんはいませんでした。
現在、Aさんはデザイン関係の仕事に必須とされるAdobe社認定の資格取得の勉強に取り組んでいます。既にPhotoshopの資格を取得し、近くIllustratorの資格取得に挑戦するようです。実習を終えて、直ぐに就職活動を始められるかと思いましたが、違いました。しっかりと足場固めをした上で、就職活動に取り組みたいとのことです。おそらく新たな課題やもしかする挫折もあるかもしれませんが、企業実習を経てAさんは大きく変わりました。ブレないAさんならば乗り越えられると思います。
ペガサスの企業理念は、「一人ひとりの尊厳ある人生を創造し、自由に羽ばたく未来を築きます。」です。障害の有無にかかわらず、人生は変えられます。Aさんがデザインした青い鳥のように、自由に羽ばたける未来を目指して、ペガサスは利用者さま達を応援して参ります。