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COLUMN

代表コラム

自分が発達障害だとわかったら いろいろある働き方

【自分が発達障害とわかったら 働き方はいろいろあります】

日本では、障害者として働くための制度がいろいろとあります。
もちろん、そうではない、働き方もあります。
いろいろな働き方のメリット、デメリットをよく知ったうえで、選択することが大切です。

【自分が発達障害だとわかった、仕事はどうしよう?】

突然、何かのきっかけで、発達障害だとわかったとします。
仕事はどうしよう?
どうやって働いていったらいいのだろう?
こんな疑問が、ふと頭をよぎるかもしれません。
急に「障害者」ということになったわけでして、戸惑うのも無理はありません。
そんな人のために、どんな働き方があるか書かせていただきます。

【障害者として働く】

 

<① 障害者枠>

障害者枠というのは、障害者雇用の法律上の義務がある比較的大きな企業(従業員数100人以上の企業から罰則が適用されます)が、法律達成のために、設ける雇用枠です。
職種は様々ですが、法律遵守が目的で、大規模の事業所では多くの人数を雇う必要性があるので、比較的専門性や難易度の高くない業務内容の求人が多いです。
これは一般の求人でも同じですが、こういった業務内容ですので、賃金はあまり高くないことが多いです。
障害があることを前提に雇用されますので、比較的障害についての配慮を受けることができます。
デメリットとしては、法律のために雇用されるので、戦力として期待されないこともあり、働く中で疎外感を感じて悩む人もいます。

<② 特例子会社>

障害者雇用の法律を守るための雇用を、別会社を作って行うケースです。
この会社自体が、採算性利益性よりも、障害者雇用の法律遵守を目的に作られているので、上記①よりもさらに障害についての配慮を受けることができます。
親会社の事務や庶務の業務を切り出して、請け負うようなケースが多いです。
大手企業が行う場合が多いので、経営基盤も安定しています。
また、社名に大手企業の名前も入るので、企業ブランドを重視する人には満足感を得ることもできます。
上記①では周りに障害のない社員が多く働くので疎外感を感じる場合がありますが、特例子会社の場合は、圧倒的に障害者が多数なので、それはあまり感じないかもしれません。

<③ 就労継続支援A型事業所>

あまり聞きなれない言葉だと思います。
簡単に言いますと、福祉施設と企業の中間的な感じのところです。
事業所とは、福祉サービスを使うための利用契約と、就労するための雇用契約を両方結びます。
福祉サービスの利用者として、手厚い障害配慮を受けることができますし、同時に労働基準法も適用されるので、最低賃金額(東京で時給958円)は保証されます。
(経営が厳しい事業所は、行政に最低賃金の除外申請を出しているところもあり、認められているところからは、最低賃金は支払われません)
短時間勤務中心で運営しているところも結構あります。
また、雇用契約を結んでいることから、長期に就労することを前提としている事業所もあれば、障害福祉サービスの利用者でもあるので、企業で就職するための訓練の場と位置付けているところもあります。

<④ 就労継続支援B型事業所>

福祉の施設であり、事業所と障害福祉サービスの利用契約を結びます。
雇用契約は結ばないので、最低賃金は保証されず、支払われる工賃(雇用関係ではなので、給料ではありません)は全国平均で月額1万2千円くらいといわれています。
この金額と、雇用契約ではなく、利用契約を結んでいることから、「働く」といえるのか、という議論もありますが。

A型事業所は、事業所が最低賃金を保証しなければならないため、働く人(利用者であり従業員)にある程度のパフォーマンスを求めます。
一方、B型事業所はそれがないため、発達障害の2次障害で気分障害などを発症し、調子が今一つの場合は、こちらからスタートするのも一つの方法かもしれません。

【一般就労で働く】

 

<一般就労って?>

障害者就労の世界では、「一般就労」という言葉があります。

意味は二つありまして、上記【障害者として働く】の①と②のように、障害者手帳を活用して、障害者雇用の範疇で就職することに対比して、使われます。
求人の出し方で、「障害者求人⇔一般求人」と対比して使われることもあります。

もう一つ、これも上記【障害者として働く】の③と④のように、福祉施設で働く(利用する)ケースと対比して使われることもあります。
「福祉的就労⇔一般就労」と対比して使われます。

<① 障害をオープンにしない>

企業の障害者枠で働く場合は、障害者であることが企業の障害者雇用率を上げることになるので、企業からするとメリットはありますが、一般枠ではそれがなく、障害者であることを面接で告げると、それがデメリットになるリスクがあります。
ですので、一般就労で働く場合は、障害をオープンにしないケースが多くあります。
当然、障害配慮を受けることはできません。
日本では障害者を守ろうという風潮もあるようで、障害者枠で入社すると、あまりチャレンジできないケースもあるようです。
一般就労で働けばそのリスクはありませんが、障害配慮を受けることのできない苦しさもあります。
難しい問題です。

<② 障害配慮を受けながら、一般就労で働ける?>

私は、中小企業家同友会という経営者団体に所属しています。
会員企業の平均従業員数は、20人~30人くらいです。
一般的に、多くの方はこの規模の企業では、障害者雇用はほとんど行われていないと思われていますが、多くの事業所で障害者雇用が行われています。
もちろん、法律の義務がない従業員規模ですので、法律のために雇っているわけではありません。
なぜ雇用されているかというと、その企業の経営者の理念からで、その人の能力を生かしながら戦力として働いています。
そして、経営理念から来る障害者雇用ですので、もちろん障害配慮はあります。
障害者認定を受けて、こういった企業で配慮を受けながら得意なことを生かして働く、という方法もあります。

私の会社も従業員15人の小さな会社ですが、精神障害手帳を持ったスタッフが二人働いています。通常の有給休暇のほかに、通院休暇を付与したり、彼らの特性の疲れやすさに配慮しています。仕事は障害者用に用意されたものではなく、他のスタッフと同じです。

【制度がなくても、障害者が当たり前に働けるべき】

いくつかの働き方を書かせていただきましたが、個人的には、「小規模事業所」で働く働き方が一番好きです。
法律がなくても、また国の援助を受ける福祉的就労でなくても、普通に企業で障害者が雇用されることが望ましいですし、当たり前になってほしいです。
僕が所属している中小企業家同友会の小規模事業所の多くは、その当たり前の障害者雇用をしている企業がたくさんあります。
それが当たり前になるように、できることを続けていきたいと思っています。

【自分が発達障害だとわかったら 働き方はいろいろあります】

書かせていただいた通り、働き方はいろいろあります。
各々のメリット、デメリットをよく理解した上で選択することが大切です。

ただ、ここで書いたことは一般論であり、事情は全くの個別です。
私は毎月第一火曜日19時から、東京の新宿区にあるNeccoCafeで、精神障害・発達障害の人のための就職セミナーをやっています。個別の相談にも乗れますので、ぜひご興味のある方はいらしてください。

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