1. HOME
  2. 代表コラム
  3. 発達障害の人が企業に採用されるために必要なこと

COLUMN

代表コラム

発達障害の人が企業に採用されるために必要なこと

発達障害の人が企業に採用されるために必要なこと

【発達障害の人の就職活動における最大の武器】

発達障害の人の就職活動の最大の武器は何でしょうか?
15年ほど、障害者の就労関連の事業を経営していて思うのは、それは、「正直さ」です。
特に、よく言えば正直で実直、悪く言えば不器用で融通が利かないタイプの発達障害の人は、いえることだと思います。
「正直さ」を武器にすることによって、その人本来の特性に、さらに輝きが増すわけです。

【発達障害の人の就職活動における戦略の練り方】

これは、発達障害の人に限らず言えることですが、就職活動中の人は、まず企業に採用されることが先決です。しかし、それ以上に大切なのは、その企業で長くしあわせに働き続けることです。
就職活動では、そこまで見据えて戦略を練ることが必要です。
特に器用さを持ち備えていないタイプの発達障害の人は、あれこれ考えすぎずシンプルに戦術を決めることが大切です。

【発達障害の人が企業に採用されるために何が必要か】

 

<志望動機が大切>

発達障害の人が企業に採用されるには、何が必要でしょうか。
私は、経営者という立場から、どんな人を採用したいかというと、志望動機のつじつまがあっている人です(これは、発達障害であってもなくても言えることですが)。
志望動機は、いいことを書かなければならない、と思っている人がいるようです。
いいこととは、相手が喜ぶことです。
それで、例えば「御社の理念に共感しました」とか、本当はそう思っていないのに、志望動機にそう書いてしまうのです。
面接のときに、「具体的にどこに共感したのですか?」と聞かれてしまったら、本当にそう思っていなければ説明しても嘘はばれますし、一気にぼろが出てしまうわけです。
特に、よく言えば、正直で実直な、悪く言えば不器用で融通が利かない、という特性を持っている人はボロボロになるでしょう。
同時に、嘘をついてしまったことで、正直で実直という良さも消えてしまうわけです。

<どんな志望動機が良いか>

採用する側にとって、いい志望動機とはつじつまの合うものです。
そのために大切なのは、正直に書くことです。
もちろん、会社の理念に共感してくれる人が来てくれたら、それはとてもうれしいことです。
ただ、採用する側も、戦力になって、かつ会社の理念に共感してくれる人はそうはいないこともわかっています。
では、どんな人が戦力になるかというと、チームとして仕事ができる人、その最低限の条件として正直であることが必要と考えています。
理念は入社後理解してもらうことは可能ですが、人となりはそう簡単には変わらないので、そちらをより重視するわけです。

<書き方のコツ>

正直さは大切ですが、思ったことをそのまま書いてはダメです。
例えば、「家から近い」。
これだけですと志望動機としてはNGですが、「自分の障害特性の一つに疲れやすさがあり、長く御社で自分の能力を発揮し続けるために、通勤に負担がないこと、家から30分以内で通えることを条件に就職先を探しています」といえば、ちゃんと自分の障害特性を理解して、会社で長期働く意欲も持っていることが伝わります。

また、「規模が大きい」「有名である」。
企業のブランドに憧れたり、また大企業で働く安定を好む人は多くいると思います。
これも、「自分は不安障害を持っており、より安心をして働ける環境で能力を発揮できます。よって、安定した経営基盤を持つ御社に応募しました」といえば、ただ「有名だから」と書くだけよりも、前向きな印象を与えます。

<正直に書いて不採用にならないか>

もちろん、正直に書いて不採用になることもあります。
ただ、どうでしょうか?
格好の良い、本心とは違う志望動機を書いて採用されたとしても、企業は違うあなたをイメージして採用するわけで、入ってからそのギャップで、お互いに困ることになる可能性もあります。
逆に、正直に書いて採用されたということは、企業は本当の姿のあなたが必要なのですから、入ってからもスムーズに業務が行えます。

【そのほか、発達障害の人が企業に採用されるために必要なこと】

 

<過大な自己PRはNG>

これも、私が採用面接した経験からですが、入社したい一心からか過大な自己PRは逆効果です。
逆に、わからないことは正直に質問してくれた方がこちらも安心します。
ここでも、正直さが武器になります。

<支援機関を利用する>

支援機関、例えばペガサスのような就労移行支援事業所を利用するのも、有利に働くケースがあります。

障害特性を、自分自身で説明するだけよりも、支援機関の人が客観的に伝えてくれることは、企業にとって安心材料になります。
また、企業実習などであらかじめ一緒に働いてみたうえで採用を決めることができるのも、同じく安心材料です。

キャリアアドバイザーによる履歴書の志望動機の書き方のアドバイスも、ペガサスでは行っています。
一人でやるよりも、プロのサポートがあることは、より質の高い履歴書を書く助けになります。

<情報を収集する>

これも大事ですが、個人的にはあまりインターネットの情報に依存するべきではないと思います。
なぜかというと、一般論が多く書かれているからです。
できれば、障害者の企業合同面接会に行ってみて、企業の人に会ってみて生の情報に触れるなどすることをお勧めします。
関連セミナーに参加するのもいいでしょう。
手前みそになりますが、私は毎月第一火曜日の19時から、東京都新宿区のNeccoCafeで、精神障害・発達障害の人のための就職セミナーをやっています。

【発達障害の人の就職活動における最大の武器】

発達障害の人の就職活動における最大の武器は、「正直さ」です。
本当のことを前向きな表現で書いてください。
それで、落ちてしまったらご縁がなかったのです。
本当のあなたと働きたい、という企業をあきらめず粘り強く探してください。

大変なこともあると思いますが、就職活動での健闘と、良きご縁に出会えることを祈念しています。

代表コラム