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発達障害を持つ大学生の就活の悩みと解決方法

発達障害を持つ大学生の就活の悩みと解決方法

【発達障害を持つ大学生の就活の悩み、解決の道はあります】

発達障害を持つ大学生は、いろいろな意味で、特に就活に関する悩みの多い時期ですが、課題解決の道はあります。

【発達障害の大学生の悩み】

私は、障害者の就労にかかわる事業を15年間以上経営していますが、発達障害を持つ大学生から、いろいろな相談を受けます。自分なりに、その理由を考えてみました。

1. 小学校・中学校は通級や特別支援級など、高校は通信制やサポート校など配慮された環境を確保できるが、大学にはそれがない。

2. 高校までと違い、大学は選択制の授業も多くあり、選ぶのが苦手なアスペルガー・自閉症系の大学生は苦労する。

3. 強制的にクラスや席順が決められる高校までは、時間がかかっても顔なじみになり友達も作りやすかったが、それがない大学では、コミュニケーションが苦手な、アスペルガー・自閉症系、注意欠陥多動(AD・HD)系は友達ができない。

4. いよいよ就活が近くなり、プレッシャーがかかる。

5. 就活が始まるが、なかなか内定がもらえず、プレッシャーがかかる。

6. 大人の障害福祉サービスや、高校生までの障害児童サービスのように、大学生で使える制度がない。

7. 就活が近くなり、障害者就労で行くか、一般で行くか悩む。または、そもそも障害者就労のことについてわからないのでの、悩む。

思いつくままに書いてみたので、重なる内容もあるかと思いますが、私が相談を受けてきた背景には、以上のことがあると思われます。

また、「多動力を生かして、ADHDの人が幸せになるには 」にも書きましたが、アスペルガー・自閉症系の人は、筆記試験に強いので、いわゆる難関校に多くいます。

多動力を生かして、ADHDの人が幸せになるには

では、どう対応したらいいのでしょうか?

【対応策】

<学校生活における悩み>

障害者差別解消法制定に伴い、教育の場でも合理的配慮の提供が義務付けられていますので、(国公立は義務、私学は努力義務)障害学生向けの相談室が多くの大学に設けられているので、そちらを利用するのがいいでしょう。

<就活に関する悩み>

・大学の就職課に相談してみる

こちらに関しては、大学の就職課に相談しても難しいかもしれません。
それは、障害者の働き方が多岐に渡り、それぞれのメリット・デメリットについて情報提供し、それらを踏まえ総合的に判断できるようサポートしなければならないため、その対応には相当高い専門性が求められからです。
(障害者の働き方については、「自分が発達障害だとわかったら いろいろある働き方 」を参照ください)

自分が発達障害だとわかったら いろいろある働き方

ただし、障害者の働き方に関して、それ相当の専門性高い方がいた場合は、その限りではありません。

・人材紹介会社を利用する

最近は障害者専門の人材紹介会社が多数あります。
紹介を受ける企業でも新卒で障害者雇用する場合もあるので、紹介する人材として、障害学生が登録することが可能なケースもあります。
登録して、キャリアカウンセラーに相談してみるのも良いでしょう。

・相談に乗ります

私は、毎月第一火曜日19時から、東京の新宿区にあるNeccoCafeで、精神障害・発達障害の人向けの就職セミナーをやっています。
毎回10名程度のこじんまりとした感じのセミナーですので、個別の相談にも乗りやすくなっています。
ぜひ一度お越しになってみてください。

【障害を持った大学生も、就労移行支援事業所を使えるようになりました】

ペガサスが行っている就労移行支援事業は、障害を持っている、学校にも会社にも所属していない人しか利用できませんでしたが、安倍内閣の「働き方改革実行計画」の流れの中で、2017年4月1日より、障害を持つ大学生(4年生大学の他、短期大学、大学院、高等専門学校含む)も利用できるようになりました。

【障害を持った大学生が、ペガサスを使うメリット】

発達障害の大学生の悩みの中で、大学生活におけるものももちろん大きいですが、就職に関することは、一生に影響することなので、より大きなものでしょう。
一人でやることに限界を感じたとき、就職課のスタッフやキャリアカウンセラーへの相談だけでは行き詰ったときに、就労移行支援事業所の活用を検討してみてください。

メリットとしては、以下のことが挙げられます。

<障害特性を正しく理解する>

「何となく生きづらい」これが発達障害の人の多くが抱える悩みです。
仕事をするうえで、周囲のサポートを得ることはとても大切なことですが、そのためには自身の障害特性について、具体的に説明できることが必要になります。
ペガサスでは、自己理解講座を行うことにより、自身の特性を理解することができます。
また、スタッフから客観的なフィードバックを受けることにより、他人から自分がどう映るか知ることができます。
それと、企業実習を行うことにより、仕事をするうえでの、自信が強みとなる、または弱みとなる特性を知ることができます。

<自己肯定感を取り戻す>

働くうえで、自己肯定感は非常に大切ですので、それを取り戻すことを行っています。
学校やその他の社会でつらい思いをした人は、組織に属することに恐れを抱いてしまう傾向があります。
ペガサスは、スタッフが当然ですが障害理解があり、利用者さんをリスペクトしていること、また利用者さん同士もお互いに気づかうことから安全な場所です。
まずはペガサスという組織に、安心して前向き・自発的に通う経験を積んでいただきます。それにより、組織に属することの安心感、充実感をつかんでいただきます。
企業という組織でしあわせに働くためには、この感覚をつかむことはとても大切だと思っています。

<働くことができる、という自信をつかむ>

就職活動中の大きな不安のひとつは、自分は仕事ができるのか、だと思います。
この不安を解消するには、実際に仕事をして、できるという体験をするのが一番です。
ペガサスでは、企業実習という安全な場所で、得意なことを仕事として体験していただき、仕事ができるという感覚をつかんでいただいています。

<自分の適性を見つける>

もうひとつの不安要素として、自分に向いている仕事は何か、できる仕事があるのか、が挙げられます。
それを見つける最良の方法は、実際に仕事をしてみて知ることです。
ペガサスでは、複数の業種、職種での企業実習を通して、自身の適性を見つけるお手伝いをしています。

<何をするかより、だれと働くか>

自分の得意なことで仕事をすることは、もちろん大切ですが、自分に合う人たちと働くこともとても大切なことです。
周囲の環境、特に人的な環境の影響を受けやすい発達障害の人は、なおさらかもしれません。
これについても、企業実習でのいろいろな環境で働く経験を通して、就職活動の際の企業選びのポイントを理解することのお手伝いをします。

<お試ししたうえで、就職できる>

上記のように、自分に合う人たちと働くことはとても大切ですが、合うかどうかは実際働いてみないとわかりません。
就職前に、企業実習を行うことにより、事前に相性を確認することができます。

【発達障害を持つ大学生の就活の悩み、解決の道はあります】

以上、発達障害の大学生について書きました。
ともかく悩み、不安は尽きないと思います。
使える資源をフルに活用していただき、ぜひ幸せに働いてほしいと思っています

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