発達障害の多様性 ~特性の幅広さを理解する~
【発達障害は、種類によって特性が全く異なります】
一概に「発達障害」といっても、種類によっていろいろな特性があり、中には各々が真逆のものもあります。
従いまして、発達障害は○○だから、××が必要、と一言で片づけてしまうことはできません。
【発達障害の特性により、まったく違った支援が必要になります】
一言に発達障害といってもいろいろな特性があって、いろいろな人がいます。
特性別に大別してみると、「アスペルガー・自閉症系」「注意欠陥多動(AD・HD)系」「学習障害(LD)系)の3つになります。
それぞれ、どんなイメージかと言いますと、ほんの一例ですが、
「アスペルガー・自閉症系」
→黙々と仕事をする職人、研究者タイプ
「注意欠陥多動(AD・HD)系」
→行動的でよくしゃべるがおっちょこちょい、憎めないリーダータイプ
「学習障害(LD)系)
→芸術的でセンスもよく、話もうまい芸能人タイプ
もちろん、障害名は同じでも、人は十人十色ですが、発達障害といってもいろいろな人がいる、ということを理解していただくためには、あえて思いつく例を挙げてみました。
こんなにタイプが違うのに、発達障害は○○だから、××の支援が必要、と決めつけるのは無理、それがお伝えしたかったことです。
【発達障害の種類別特性】
それでは、種類別の特性を少し詳しく書かせていただきたいと思います。
<アスペルガー・自閉症系>
1. 特徴は、右脳よりも左脳的な能力が発達していることです。
2. 例えば、ルールや過去のデータを重視します。
3. ですので、変化や新しいこと、未知への対応は苦手で、不安を感じます。
4. そもそも、未来は未知ですから、必ず未来が来る現在において、常に漠然とした不安を感じています。
5. 思考がデジタルで論理的なので、ITに強いです。
6. 一つの仕事を集中して行うことは得意ですが、複数のことを同時進行するのは苦手です。
7. また、思考がデジタルで想像力が欠如するため、人の感情を察するのは苦手です。よって、コミュニケーションも苦手です。
8. 自分の興味・関心があることには、徹底的にのめりこみます。そのため、特定の分野の情報量は膨大です。
9. 6と7が、合わさると、相手のことを考えず、自分が詳しいことを長々と話し続けるため、相手に迷惑をかける人、という評価になってしまいます。
<注意欠陥多動(AD・HD)系>
1. 一つの特徴として、一つのことに集中できないことが挙げられます(注意欠陥)。
2. もう一つの特徴は、じっとしていられないことです(多動・多弁)。
3. この二つの特徴の根本的な原因として、衝動性の強さが挙げられます。
(1) 1の一つのことに集中できないケースは、別のことが思い浮かぶとそこに衝動的に気持ちがいってしまう。
(2) 2の多動・多弁も同じです。
4. 1の集中力欠如により、いわれたことをすぐ忘れたり、ものを置き忘れたります。
5. 世話好きの人もいますが、過剰サービスになってしまうこともあります。
6. 衝動性の強さから、思ったことをそのままいってしまうことから、対人関係のトラブルを引き起こすことがあります。
<学習障害(LD)系>
1. 特徴は、アスペルガー・自閉症系とは真逆で、右脳的な機能が発達しています。
2. 従いまして、「読む」、「書く」、「計算する」といった、規則性に基づいたことは苦手です。
3. 書くことが苦手なため、メモを取ることが苦手です。メモを取ろうとすると、そのことに集中してしまうため話していることが理解できなくなり、結果メモが取れません。
4. 芸術的な才能があります。
5. 文章を正確に読むのは苦手でも、ななめ読みで概要を早く理解することが得意な人もいます。
6. 英語が読むのは苦手でも、聞いたり話したりすることが得意な人はいます。
7. 右脳的な機能が発達しているので、人の気持ちを察でき、人間関係を構築したり、人を楽しませたりすることが得意です。
【発達障害の特性により、支援は真逆になります】
上記のように、一言に「発達障害」といっても、種類別に様々な特性があります。
例えば、アスペルガー・自閉症系の人は一つのことに集中するのが得意ですが、注意欠陥多動系の人は、逆にそれが苦手です。
また、同じくアスペルガー・自閉症系の人はマニュアルに従って仕事をするのが得意ですが、学習障害系の人は、マニュアルを読むのが苦手です。
また、一つの具体例を挙げますと、同じ「メモが取れない」でも、発達障害の種類により、原因は以下のように異なります。
1. アスペルガー・自閉症系
一つのことをマニュアルに沿って行うことは得意だが、都度状況判断したり、同時並行は苦手
2. 注意欠陥多動性障害(AD・HD)系
一つのことを集中して行うことが苦手。メモを取り間違える。
3. 学習障害(LD)系
書くことが苦手なため、書くことに集中してしまい、話していることが理解できなくなってしまう。
【発達障害の、種類別の特性を理解することが大切です】
ですので、何度も言いますが、発達障害の人は○○だ、と画一的な理解をしていると、時として真逆の理解を、真逆のサポートをしてしまうことがあります。
従いまして、その種類別に特性を理解することが大切です。