マインドフルネス、私も実践中!
発達障害や精神障害を抱える方々を含め、生活や仕事にマインドフルネスを取り入れる人は少なくないと思います。私、ペガサス平塚センターの鈴木もその一人です。私たちは時折、過去の後悔や将来への不安に囚われてしまうことがありますが、そのような時に心を「今」に集中させ、怒りや不安などで揺らぐ心を穏やかな状態する方法がマインドフルネスです。
マインドフルネスは、仏教の坐禅やヨガの瞑想などを基に、ストレスの対処や心の健康の向上を目指す瞑想プログラムとして1970年代に欧米で開発されました。ビジネス界でも取り入れられ、過去や未来に影響されず、目の前のビジネスに集中し、適格な判断ができるなどの効果が期待されています。Appleを創業したスティーブ・ジョブスも、瞑想を通じて自分の心を静め、創造的なアイデアを生み出す力を高めていました。また、Appleの本社には瞑想のためのスペースが設けられており、社員たちもマインドフルネスを実践しています。余談ですが、スティーブ・ジョブスは、ADHDとASDの2つの発達障害を持っていたと言われています。
簡単にマインドフルネス!
マインドフルネスについては、多くの書籍やWebサイトなどで解説されていますので、検索して参考にしてください。ここでは、私が行っている方法をいくつかご紹介します。もっとも簡単なやり方は、正座やあぐらの姿勢で、あるいは椅子に座って姿勢を正し、見えない糸でつむじをピンと引っ張られているイメージで背筋を伸ばし、目をつむります。そして、自分の呼吸にのみ集中して、今のあるがままを感じ、こころを空っぽにします。ところが、なぜか必ずいろいろな感情や思考、いわゆる雑念が浮かんできてしまい、最初のうちは1分と続かないかもしれません。長く続けるコツは、雑念が沸いてきたらすぐに意識を呼吸に戻すことです。そして、習慣化することで、少しずつで良いので雑念の影響を受けにくい体質を目指していきましょう。
動禅⁉ 歩行禅⁉ そして掃除禅?
ところが、もっともらしく言っている私ですが、実は座って行う瞑想はあまり得意ではありません。そこで私が行っているのが「歩行禅」です。マインドフルネスの基になっている瞑想法の一つが坐禅ですが、禅には座って行う坐禅の他に、太極拳のように立って行う「立禅」や横になる「臥禅」、動きながら行う「動禅」があることを知りました。歩行禅は動禅の一種で、歩く際に一歩一歩足の裏で丁寧に地面を感じながら呼吸に集中します。両手は胸のあたりに置き、背筋をピンと伸ばし、上半身の動きは最小限にとどめます。私は趣味のランニングで普段から走るフォームなどに気を配っているせいか、足元に集中する歩行禅が合っているようです。自宅から職場まで徒歩で10分弱、特に朝は意識して取り組んでいます。歩いているのでもちろん目はつむりません。目に入ってくるものはただ受け入れるだけで、そこから何かを考えてはいけません。意識するのは足元と呼吸だけです。息を吸う時はできるだけ深く、吐く時はゆっくり長く吐くことを意識すると、より呼吸に集中できると思います。
動禅はシンプルな動作を繰り返して行うのが良いと言われています。時間を忘れて何かに没頭し、同じ動作を何度も繰り返し、心を空っぽにするのです。例えば、ピアノを弾く、野球やゴルフの素振りをする、道具の手入れをするなど、無心になって同じ作業を繰り返すことで良いわけです。掃除や皿洗いなどの家事も動禅、すなわち瞑想の手段になると思います。最近、お風呂に入る前の約10分間、浴室の床や壁をブラシでこする「掃除禅(私の造語)」を始めましたが、意外にも何も考えずに集中することができて気に入っています。
マインドフルネスや瞑想には、ストレス軽減や集中力向上、創造性の刺激、感情の調整など様々な効果が期待できます。怒りや不安、恐れといった生活や仕事をする上で邪魔となる感情を少しでもコントロールできるようになるために、毎日短時間で良いので取り組んでみてはいかがでしょうか。ただし、不安を増大させてしまったという報告もありますので、実践するに当たっては主治医やカウンセラーにも相談してください。